過去の推進室情報 2007年

新春特別連載 (東原教授からの投稿 その1)

日野市の教育の情報化を支えているのは、信州大学の東原教授の専門的かつ実践的な助言です。
文部科学省でも現在、学校のICT化のサポート体制の在り方について検討中で、
「専門的な知識を有する外部人材の活用等、学校のICT化をサポートする体制の整備が必要不可欠である。」
としています。
東原教授には、日野市のいわば『教育の情報化戦略本部」としての役割を果たしてきた「ICT活用研究委員会」の助言者として
平成17年度からずっとご指導をいただいています。
←ICT活用研究委員会での東原教授
実際にはその前の年の平成16年に、初任者研修(夏の宿泊研修)でご指導いただいたのが始まりでした。

◆以下、東原教授に新春特別企画として、原稿をお寄せいただきました。
本日、その第一弾を掲載させていただきます。

1 初任者研修からスタートした教育の情報化戦略
2004年(平成16年)8月に八ヶ岳山麓で初任者研修をお手伝いしたときが、日野市の先生方との始めての出会いでした。
当時、コンピュータで指導できる教員の全国平均が63%のとき、日野市の場合は61.5%で、遅れていた東京都の中でもさらに遅れている区市町村の一つでした。
コンピュータの設置率は都内の区市町村の中で50位台、教室へのLANの普及率は1.1%に過ぎませんでしたから、コンピュータで指導できる教員の割合が少なくてもしかたない状況でした。
この状態からの脱出を企てたのが、その年に日野市に着任したI 指導主事です。I 氏は、まず、初任者研修から改革をスタートさせました。
日野市の施設である八ヶ岳山麓の大成荘にはコンピュータは設置されていませんし、市内の学校から持ち出せるコンピュータもありません。コンピュータを所有していない初任者が多い時代でしたから、大学ではこの機会に研修用ノートパソコン8台を新規に用意して研修会に備えました。
研修の内容は、教育の情報化の目的、情報モラル、そして教材開発を通してコンピュータの役割と人間教師の役割を実感してもらうというワークショップ形式もので、プロジェクターを使っての発表会で成果を共有しました。
日野市における教育の情報化がスタートしたとき、各学校で実質的に動くことのできる教員をまず育成しよう、ということで、他の2人の指導主事にも研修会にかかわってもらって、全指導主事の情報化に対するコンセンサスを得よう、そして信州大学の協力を得ようという、I 氏の企みは、今日振り返ってみると大成功だったといえるのでしょう。

 

◆以下の画像は、平成16年の初任者宿泊研修の様子です(大成荘にて)。

 
東原教授に指導を受けた当時の初任者の先生方は、現在4年次の教員として各学校で活躍しています。

 
当時の3人の指導主事も、宿泊研修で初任者の先生方と一緒に教材を作成しました。日野市の教育の情報化の第一歩です。