新春特別連載 (東原教授からの投稿 その2)
昨日に引き続き、東原教授からお寄せいただいた原稿を掲載いたします。
2 日野市の教育の情報化戦略の特徴
最も特徴的なのは、日野市が取り組んでいる教育の情報化の戦略は、情報化に限った戦略ではないということです。「どうしたら公立学校という組織が動くか」という課題として捉えられている点です。もし、日野市における教育の情報化が成功したならば、それは、日野市が公立の組織を変革する底力を有していたということのひとつの証でしかありません。地方の時代といわれる今日、とても頼もしいことであり、感銘を受けます。
「学校という組織」を動かすため、かかわるすべての人が何らかの貢献をされています。まず、2006年度から2年間、市長が所信表明 で「日本一のICT活用教育宣言」をされています。そして、日野市に行くと、先生方や教育委員会関係者だけでなく一般の市役所職員の方も、また、保護者だけでなく一般市民の方も、もちろん市議会議員の方も、「学校がICT活用に力を入れていること」をご存知であることが伝わってきます。組織が動く、地域が動くとは、こういうことなのかと実感します。2004年から今日までの多面的な積み重ねがこのような状況を創り出したのでしょう。
学校という組織が動くためには、校長や教員を励ますだけでは意味がなく、全ての関係部局が力を合わせて協力する必要があります。つまり、人のネットワークがとても大切なのです。この当たり前のことを具現化したところが日野市の強みです。
「どうしたら公立学校という組織が動くか」の課題に対して、ごく当たり前のことを日野市は実施されました。明確な達成目標を掲げ、それが達成できているかの評価をし、Webサイトから公表していること、すべての教員の力を信じて環境を整え、支援することに徹したこと、校長の組織としてのリーダーシップが発揮できるよう教育委員会として支えていることなどは、他の区市町村にも参考になります。