日野市の学校WebサイトはCMS-1周年記念記事-
以下、東原先生からいただいた原稿をそのまま掲載させていただきます。
平成18年度のICT活用研究委員会にて、河野委員長から学校Webサイトの改善に関する検討を進めることが提案され、その具体化を検討することになりました。
学校Webサイトの構築の方法は、一般に次のように進化してきました。
第1期
Htmlと呼ばれる、Webページ作成専用言語を用いてプログラムし、完成したファイル群をftpと呼ばれるファイル送信機能を使ってサーバに登録する。
第2期
Webページ作成ツール(ホームページビルダーなど)を用いて作成し、完成したファイル群をftpと呼ばれるファイル送信機能を使ってサーバに登録する。作成ツールによっては、あらかじめ設定しておけば、ftpを意識することなく完成したWebページ用ファイル群をサーバに送信できるようになっているものもある。
第3期
CMS(Content Management System)と呼ばれる仕組みをサーバ側に用意し、Webページ上で入力して、Webページを作成する。この場合には、ftpを必要としない。
そこで、日野市も第3期のCMSの方式にすることの検討が開始されました。専門的知識を要する内容なので、その検討は信州大学の東原が担当することになりました。信州大学教育学部では、すでに5種類のCMSを試行しており、Xoopsが有力な候補として絞られてきました。市販のCMSを採用するのか、Xoopsを採用するのかを判断する段階を迎え、それぞれを採用した場合に必要となる経費を調査することになりました。また、Xoopsを採用した場合、本当に学校で使いこなせるのかを調査する必要がありました。Xoopsの場合には、初期構築を誰が行うのかも問題でした。
Xoopsで大丈夫そうか否かは、つくば市教育委員会の指導主事の吉田浩先生とITスタッフの株木啓子さんの親切な解説と実績が物語ってくれました。
しかし、Xoopsによる初期構築を全面的に業者さんに委託すると莫大な経費が必要となることが判明し、市販CMSの費用とほぼ同額であることも明らかになってきました。
ちょうどそのころ、東原は日本科学教育学会のWebサイトをXoopsで構築する作業を行っていました。その手助けは信州大学教育学部4年の森下孟君がやっていました。そこで、日野市がXoopsを採用することになった場合には、学校Webサイトの構築は、東原研究室で全面的にサポートすることに決心しました。
学校Webサイトに必要な最適なモジュールの選択とその設定は森下君が担当し、まず雛形サイトを作成しそれを複製して他の学校Webサイトを構築するという方法のアイディアの創出、レイアウトなど初期テーマの決定と学校の要望を明確にするためのヒアリングシートの設計、市内の学校へどのように普及していくのかの戦略の企画案作成は東原が当たりました。
ここに、モデル校からスタートし、校長先生から発信を開始するという日野市公立学校のWebサイト構築と運用の方式が産声をあげたのでした。雛形からの複製はレンタルサーバ業者さんに、各校サイトのモジュールの初期設定は森下君が、学校ごとのロゴの作成・配色やレイアウトは日野市のメディアコーディネータに担当してもらうことにしました。
Webページ発信に関するポリシーの策定は日野市教育委員会と情報システム課が、発信者へのIDの発行の取り決め、個人情報保護、肖像権、著作権に関する発信直前のチェックリスト案などは東原が作成しました。発信のために必要なマニュアルは森下君がわかりやすいものを作成してくれました。
この間、五十嵐推進室長には、常に発信の試行をかねて、モデルサイトとしての推進室サイトの構築と日々の発信をお願いしました。また、室長は校長先生への呼びかけ、励まし、研修を積極的に実施されました。
次回は、CMSの仕組みについて、その概要をお知らせします。