所長挨拶

 

       ◎学校を支える教育センター事業

                                        所長  竹山 弘志

 

    昨年3月に、日野市教育委員会から第4次日野市学校教育基本構想が示されました。 そこには、子供たち自らが育んでいってほしい力として、「すべての“いのち”が喜びあふれる 今と未来をつくっていく力」が掲げられました。一人一人の子供たちが、安心して遊び、学び、育つ環境をつくることが大切であるとともに、日野の学校は、誰かに任せるのではなく、みんなが当事者として育てていきましょう。そのためには、関係者が プロジェクトを立ち上げて、具体的に取り組んでいきましょうという旨のことが記されています。

教育センターは、この方針に基づき、今年度も「学校を支える教育センター」と方針を立てて事業を推進していきます。具体的な取り組みとしては、調査研究部、研修部、相談部の3つの部で、5つの事業を展開します。

1.  調査・研究部は、理科教育推進研究と郷土教育推進研究の2つの事業があります。それぞれ推進委員会を立ち上げ、授業改善・授業づくりの視点で研究テーマを設定して活動します。はじめに、理科教育推進は、理科教育コーディネーターが、理科担当の校長や幼小教研及び中教研の理科部の教員等で構成される推進委員会に活動計画等を提案します。昨年度は、理科実験教室の開催、理科授業に関する情報提供、関係機関による出前授業の案内や協力、理科実技研修会への参加や支援、等を行いました。                                     

次に、郷土教育推進研究は、昨年度は郷土教育コーディネーターを含め30名余りで推進委員会を構成しました。日野市内にある歴史的、産業的、あるいは民俗的な資源等の中で、郷土教育の授業で効果的な教材として扱えるものを関係資料やフイールドワークなどから発見・発掘したり再評価したりしました。そして、教材化したものをグループごとに研究授業で検証したり、それぞれの委員の先生方が生活科や総合的な学習の授業等で取り上げたりしました。これらの実践例は指導事例集に蓄積し、データを教員に紹介し、授業で活用してもらえるようにしてあります。

2. 研修部は、若手教員の資質向上を目指して活動します。昨年度は、日野市立小・中学校の1年次から3年次までの若手教員100名余りを対象に、3名の若手教員育成専門員が若手教員の勤務校を訪問して授業観察と面談を行い、授業力向上に向けての具体的な指導助言等を行いました。学校の教育力は、一人一人の教員の資質にかかっています。新規採用教員が年々増加している中、若手教員の資質を高めることは学校の喫緊の課題であり、教育センターの若手教員育成研修の役割も大きいと思います。                   

3. 相談部は、不登校状態にある小・中学校の子供たちを支援する視点で、わかば教室運営と不登校総合対策の2つの事業を行っています。はじめに、わかば教室運営についてです。わかば教室は、子供が自分に自信や自己有用感をもち、社会的に自立する力を育くむことを第一の目標にして活動しています。わかば教室は、不登校の子供たちの居場所や学びの場、保護者や関係者を含めた相談の場としての役割が大きく、在籍校とも連携しながら一人一人の情況に応じて丁寧な支援を行っています。

わかば教室は、主任を中心にして組織的に運営されており、子供への学習指導、特別活動、ICT、カウンセリングなどを行っています。昨年度は、わかば教室に120名ほどの子供が在籍し、一日当たり25名から30名程が通室しました。わかば教室に通っているうちに表情が明るくなり、エネルギーを蓄え、自分のやりたいことを見つけて一生懸命取り組む子供、新しい友達ができて楽しそうにおしゃべりしたり、遊んだりできるようになった子供など、一人一人に変化が見られました。また、学校に戻って過ごせるようになった子供もいました。 

   次に、不登校総合対策は、学校教育支援係の教育支援コーディネーターが、教育委員会指導主事等と協働しながら活動しています。この係では、わかば教室のみならず、日野市全体の不登校の実態について調査や集計等を行い、不登校の総合的な対策について検討しています。また、フリースクール等の民間の教育施設や公的教育機関等と連絡を取り合い、不登校状態の子供が、どこかの教育施設とつながり、学びを止めないようにすることを目指して取り組んでいます。 

なお、教育センターの日常的な活動や「わかば通信」「教育センターだより」 「教育センター紀要」等は、教育センターのホームページでご覧いただけるようにしています。本年度も、学校を支える教育センターとして事業を推進して参りますので、皆様方のご理解・ご協力、どうぞよろしくお願い申し上げます。