文字
背景
行間
東京都現代美術館との授業
2018年1月23日(火)に行われた図工の授業が、東京都現代美術館のホームページにアップされました。
http://www.mot-art-museum.jp/blog/edu/2018/03/3-9.html に以下のように掲載されています。
テーマ:身近なもので先生の頭部をつくろう!
いよいよ最後の訪問校です。
こちらの学校で取り組んだのは、身近なものを使った先生の頭部作り。
図工室の椅子を支持体に、さまざまな素材を用いて制作します。
「すげーいいにおいがする!」という声もあがっていました。
続いて棚田さんから今日やることの説明です。
2クラス混合で、3~4人で1グループになったら、どちらの組の
担任の先生を作るか相談。そして、図工室の椅子に先生の頭部を
どう表現するかをみんなで考えていきます。
棚田さんから、先生の顔をよく観察するようアドバイス。
細かいパーツから作りがちですが、まずは対象を大きく捉えることが大切です。
プチプチの緩衝材を髪の毛に見立てたり、豆腐が入っていた
パッケージを使って目をつくったり、計量スプーンが鼻に様変わりしたり。
子供たちは、先生の特徴をとらえながら、身近な素材を使って表現していきます。
完成した作品の数々。
作品にはどんな様子の先生を作ったか、タイトルをつけました。
「おどろいているS先生」「笑っているH先生」「何かをさけぶS先生」など、
それぞれの先生の雰囲気がよく出ています。
これらの作品は、2週間ほど図工室前の廊下に展示をして、
みんなに見てもらったそうです。
棚田さんが訪問してくださった6校での実施は、それぞれにバラエティに
富んだ内容となりました。
実施後に送られてきた子供たちの感想には、
「何もない所から作る喜び、楽しさを学んだ」
「顔を作るには難しいと思った材料でも、やってみたら面白かった」
「グループで大きな1つの物を作るという楽しさは、いつも1人で
作る作品とは違った楽しさを味わうことができた」
などとあり、普段の図工や美術の授業とは異なる楽しさや
発見のあるひと時となったようです。
最後に、今回の学校訪問を担当してくれた、棚田さんから寄せられた
メッセージを紹介します。
―彫刻の仕事は僕にとって人間を見つめることでもある。―
学校訪問を終えて感じることは、今回関わった全ての子供たちは表現者であり
未来でもあった。彼らの眼差しはそのままむき出しの純粋性を持ち、『自分』という
可能性を見つめている。僕は彼らの視線にやられてしまう。美し過ぎるのだ。
それに現場の先生が美術制作に対する熱い情熱と深い愛をもって子供たちに
接していらしたのが強く印象に残った。学校の先生ならそんなことは当然と
綺麗事のように思い込んでいた。しかし自分の概念が現実を目の当たりにして
変化していく。両者から人間の深いところでの繋がりが感じられるのだ。
現場の先生方は本当に懸命によく動いて下さる。そんな先生方を見ながら
つくづく教育は『生き物』だなと思った。美術教育は生き物と生き物の
ぶつかり合いの中で強さや逞しさ、ある時は汚なさをも伝えながら、諭しながら、
子供たち本人に新たな自分を発見させていくのだろう。
僕はその一瞬に参加できて彫刻家として幸せな時間を過ごせた。
このような素晴らしい仕事をご一緒できた東京都現代美術館の学芸員の皆様に
心から感謝している。
棚田康司
(2016年4月から2018年3月まで)