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子供たちの命を守るために
平成13年6月8日、大阪教育大学教育学部附属池田小学校に出刃包丁を持った男1名が、校内に侵入し、児童や教員23名を殺傷(うち、児童8名が死亡)するという大変痛ましい事件が発生しました。
事件から20年以上が経ちましたが、教育関係者にとっては忘れることのできない出来事であり、学校の安全管理に大きな影響を与えました。
例えば、先日の運動会においても、保護者等の皆様にはご来校いただく際、見える場所にシールを着けていただきましたし、JSPの有志の方々の協力を得て、受付で確認もさせていただきました。
不審な人物から子供たちを守るということは、日々、取り組んでいかなければならないことなのです。
学校の敷地は広いですから、不審な人物を校内に入れないことは限界があります。
そこで、教職員や子供たち自身も万が一に備えた対応を理解しておく必要があります。
今朝は、校内に不審者が侵入した際を想定した避難訓練を行いました。
午前8時45分、1校時が始まろうとする頃、校舎内に不審な男が現れました。(注:本校教員が演じています。)
男は、「俺の家に石を投げたのは誰だ!」などと叫びながら教室に入ろうとします。
教室に入れまいと、男と押し問答をする担任。
危険を感じた子供たちは、窓の方に逃げます。
異変を感じた隣の学級の担任は職員室の副校長に連絡するとともに、不審者の侵入した学級の子供たちを後ろのドアから隣の学級に避難させます。
副校長は校内に「暗号」の放送を流します。
放送を聞いた教職員は不審者が侵入したことを把握し、ドアと内窓を閉め、各学級にいる児童を窓側に誘導します。
(この写真は、内窓の外から撮影しています。この後、カーテンを閉め、外から教室内が見えないようにします。)
校内は誰もいないようなシーンとした感じになりました。
一方、不審者との押し問答が続いていた教室には、さすまたを持った職員が応援で駆けつけ、不審者を確保しました。
こうして、本校の児童の安全は守られました。
校長が放送で講評を行いました。
「地震や火事がいつ起きるか分からないように、不審者がいつ学校に入ってくるかは分からないので、あわてずに行動できるようにしましょう。」と話したものの…。
149年前のことは分かりませんが、本校が開校した当時、このような不審者対応訓練は行われていなかったはずですし、「いつでも、誰でも、どこにでも」来てよい、おおらかな雰囲気だっただろうと想像できます。
私も本来、そのような学校にしたいのですが、今の世相ではそれは難しくなっており、訓練しながら、残念な気持ちにもなっています。
と、そんなことを考えながらこの記事を書いていると、校長室前の廊下を通っている児童の声が聞こえてきます。
児童A「ねぇ、今朝の不審者、誰だったと思う?」
児童B「きっと、校長先生なんじゃない?」
ちょっと、ショック…。【校長】
(2016年4月から2018年3月まで)