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4年社会科:自然災害にそなえるまちづくり~東西潤徳小学校コラボレーション~

 潤徳小学校では、令和3年度から3年間に渡り、

「主体的に考えを表現し、学び合う児童の育成」~Chromebookの効果的な活用法の研究~

という研究主題のもと、授業改善を進めています。本日行われた第4学年社会科「自然災害にそなえるまちづくり」の授業の様子をお伝えします。なお、本日の授業は、日野市の「特色ある学校づくり支援事業」として指定されている「東西潤徳小学校コラボレーション」の授業です。

距離を越え、つながり、学び合う児童を育てる

~4年社会科:自然災害にそなえるまちづくり【東京⇔熊本】~

「熊本県 山都町立潤徳小学校(以下、山都潤徳)」、「東京都 日野市立潤徳小学校(以下、日野潤徳)」をGoogle Meetでつなげ、授業が始まりました。

本時のめあては

山都町との交流を通して,考えたことをまとめよう

です。山都潤徳も、日野潤徳も、今日の授業に向けて、それぞれの地域における「自然災害にそなえるまちづくり」について調べ、発表準備をしてきました。

 

グループでは、

①   「(国や)都道府県,市区町村などの関係機関の役割」

②   「自治会などの役割」

③   「私たちができること」

の3つの視点について、それぞれ役割分担し、まとめています。今日は、学びの成果を発表し合い、共通点や相違点を捉えながら、学びを深めていきます。

 

Google Meetのブレイクアウトルーム機能を使い、グループに分かれます。ブレイクアウトルームとは、少人数で話し合いができるように、少人数で区分けする機能です。端末の音声が聞き取りやすいよう、教室だけでなく、廊下にも出て話し合いをします。

まずは、自己紹介をしています。照れながらも、画面の前に立ち、自己紹介をする姿が見られました。

発表は、「画面共有」機能を使います。子供たちは、ミライシードでまとめた発表用のスライドを、山都潤徳に共有しながら、発表をします。

日野潤徳児童

「東京都の取り組みを発表します。1つ目は護岸工事です。護岸工事は、川幅を広げたり川底を深くしたりしています。2つ目は…」

日野潤徳児童

「日野市の取り組みを発表します。日野市では、毎年合同水防訓練をしています。合同防災訓練では…」

日野潤徳児童

「自分ができることについて発表します。私は、ローリングストックをしたいと思いました。賞味期限が近いものから食べ、また新しい物をストックするというものです。」

 

発表原稿は、ノートの子もいれば、Googleドキュメントを使っている子もいます。自分がやりやすい方法で学びを進めるためです。「文房具としてのICTツール」という位置付けが、しっかりと根付いていることが分かります。

 

日野潤徳の発表の後は、山都潤徳の発表です。日野市と同じところはどこか、違うところはどこか、集中しながら聞く様子が見られました。

 

発表の後は、質問や感想を伝え合っています。

山都潤徳児童

「マイタイムラインを使って、避難場所の確認をします。」

日野潤徳児童

「熊本にもマイタイムラインがあるんですね。」

日野潤徳児童

「あ!デザインが違うよ。」

日野潤徳児童

「すごい!くまもんだ」

 

山都潤徳児童

「避難をするときは、自分だけでなく、おじいちゃんおばあちゃんも一緒に避難するので、助け合うことが大事です。」

日野潤徳児童

「おじいちゃん、おばあちゃんと一緒に住んでいるんですか。」

山都潤徳児童

「はい、そうです。」

核家族が多い東京都の相違点に気付くことができました。

 

山都潤徳児童

「災害が起きたときは、避難所に避難します。避難所は、山都潤徳の体育館と、憩いの家という場所です。」

日野潤徳児童

「私は、近くの三沢中に避難します。避難所があるのは、日野市と一緒ですね。」

日野潤徳児童

「山都潤徳小の近くに、川はあるんですか。」

山都潤徳児童

「あります。」

日野潤徳児童

「えっ…。じゃあなんで、避難所になっているんだろう…」

とてもよい問いが出ました。日野潤徳小は、浅川が氾濫すると浸水するため、避難することができません。しばらく考えた後、山都潤徳の児童から、このような答えが返ってきました。

山都潤徳児童

「山の上にあるからだと思います。」

ああ~と納得した様子の日野潤徳の子供たち。ちょうど、理科で「流れる水のゆくえ」を学習したばかりです。教科横断的に理解が進んでいることが感じられます。

 

それぞれのグループで、様々な発見がありました。交流の後、教室に戻ってきた子供たち。口々に

「もっと話したかった」

と興奮冷めやらぬ様子でしたが、その中で一人

「帰ってきた、って感じ」

という児童がいました。頭も、心も、距離を越え熊本と交流していたのかもしれませんね。

教室に戻った後は、山都潤徳の発表を聞きながらノートにメモしてきた共通点・相違点とともに、考えたことや感じたことをまとめていきました。

まとめたことを、教室の近くの子と共有しました。比較しながら発表し合ったことで、学習の理解が深まったようです。

 

協議会の様子

本日の協議会は、山都潤徳との合同協議会となりました。協議会では、以下のような成果と課題が出ました。

成果

  • 山都町立潤徳小学校との交流で、他の地域の災害対策を知り、自分の暮らす地域との共通点、相違点をまとめ、考えを深めることができていた。
  • 水害という同じテーマだったから、分かりやすかった。
  • 遠くの同年代の子に画像を見せながら、発表をし、その場で交流ができた。相手がいることで、発表をする/聞く態度が前のめりだった。 

課題

  • 山都からの音声が小さく、相互のコミュニケーションが円滑に行われていたとは言いづらい。→解決策「外部スピーカーを使用する」「クロームブックの最大音量を引き上げる」など
  • 発表をするだけして終わりになってしまっているグループがあった。事前に自分たちはこう→じゃあ山都町はどう?という視点をもたせてあげると意見交流が活発になったのではないかと思いました。

 

また、本日は講師として、日野市教育委員会 宮崎友和指導主事をお招きしました。

指導・講評では、社会科における情報活用能力の育成や、遠隔教育などについてご指導いただきました。本時の授業については、相違点について、さらに深く問い返してほしかったとの話がありました。「山都町では、憩いの家という避難所にクリスマスツリーを飾る」「という相違点を挙げた子がいたが、「なぜクリスマスツリーを飾っているのか」と問い返すことで、「小さい子も安心できるように」と考えられたかもしれない。そうすると、「小さい子も安心して避難できるように自分は何ができるか」ということをも考えられたかもしれない。自分事として考えることに繋げていくことが大切なのではないかとご指導いただきました。

 

 ハード面や、最終的な教科の目的に関して様々な課題はあれど、遠隔で共通の課題について発表し合い、学びを深めることのメリットを大いに感じられる提案授業となりました。

(山都・潤徳小の4年生の授業の様子は、こちら

(研究協議会の裏側は、こちら