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実験は、やってみなけりゃ分からない
校内を回っていると、理科室に6年生がいるのが見えました。
中に入ってみると、実験を行う準備をしているようです。
黒板を見ると、「酸性、中性、アルカリ性の水溶液」と書いてあります。
どうやら、水溶液の性質を実験で調べるようです。
食塩水、石灰水、アンモニア水、塩酸、炭酸水の入ったビーカーにそれぞれガラス棒を入れ、青と赤のリトマス試験紙にガラス棒をつけることで反応を観察します。
塩酸は「青→赤」で酸性、アンモニア水は「赤→青」でアルカリ性など、色の変化で性質をまとめます。
ガラス棒をつけた瞬間に色が変わるので、子供たちも驚いた表情です。
赤いリトマス試験紙に食塩水をつけます。
本来、中性のはずなので、色の変化はないはずなのですが、多くの班で、じんわりと「赤→青」の反応が出ています。
これは、からかうチャンス。
校長「お、赤から青に変わったから、食塩水はアルカリ性ってことだねぇ。」
6年生A「え〜、絶対違うよ!中性なはずだもん。」
校長「だって、赤から青になってるじゃない。」
6年生B「塾で、中性だって習ったもん!」
校長「いや、これは潤徳小特製食塩水で、他とは違うんじゃないの?」
6年生C「うん、やっぱり、アルカリ性なのかも・・・。」
校長「ガラス棒に、他の水溶液がついちゃったのかなぁ。」
6年生D「それは、絶対にないです!1回1回、水でしっかり洗ってます!」
科学は実験の積み重ねで実証することにより発展してきました。
ひょっとすると、潤徳小の実験が「食塩水は中性」という定説を覆すことになるかもしれないのです。
しかし、授業を行っている理科の講師の表情はさえません。実は、正確に中性にするのは難しいのです。
テストで「食塩水はアルカリ性」と答えられても◯にすることはできませんし・・・。
(校長が退室した後、別の袋の食塩を使って再実験したところ、ちゃんと中性の反応が出たとのことです。よかった・・・。)
理科室を後にし、4年生の教室に行ってみると、ここでも理科の実験の準備が行われていました。
2つの同じ透明なカップに同じ量の水を入れ、1つはラップやふたをし、もう1つはそのままにします。
数日間、置いてみて、水の量がどうなるかを実験するようです。
目に見えない蒸発を学ぶわけです。
子供たちが、日なたや日かげのある、教室や廊下のいろいろな場所にカップを置きはじめました。
これも面白そうです。
窓際にカップを置いているグループに声をかけます。
校長「窓のそばに置いておくと、鳥さんがやってきて、水を飲んじゃうかもしれないんじゃない?」
4年生A「そんなはずないよ〜!」
4年生B「そうかも・・・鳥が飲んじゃったら、実験結果が変わっちゃう。場所を変えたほうがいいかなぁ。」
校長「校長室に置いておいたらどうかなぁ。」
4年生C「え、本当にいいの?」
校長「うん。その代わり、のどが渇いたら、校長先生が水を飲んじゃうかも。」
4年生たち「え〜!ダメ〜!!」
実験の結果は、数日後にどうなっているでしょうか。やってみなければ分かりません。【校長】
(2016年4月から2018年3月まで)