日誌

学校に謎のクマ?

朝、1時間目から、突然、校長室をノックする音が聞こえます。

ドアを開けると、5年生の1クループが立っています。

5年生たち「国語の授業のことで、ちょっと取材してもいいですか?」

 国語で「みんなが過ごしやすい町へ」を学習している5年生。

校内の問題を探し出し、自分たちで解決する方法を提案するための取材のようです。

オフィシャルな取材ですから、謹んでお受けしなければなりません。

5年生A「(質問1)学校にある階段の手すりは、150年前からあるんですか?」

日光帰りのボーっとした頭をシャキッとさせるような難問がいきなり浴びせられます。

校長「以前の朝会で、潤徳小の歴史を話したじゃない?(詳しくは、こちら)」

5年生B「うん、覚えてる。」

校長「150年前は、かやぶき屋根の校舎だったし、今の農協(七生支店)あたりに潤徳小があったということも話したでしょ。今の校舎が150年前からあるわけじゃないんだよ。」

5年生C「じゃあ、今の校舎はいつできたの?」

校長「昭和41年(1966)年だよ。今が2023年だから、できてからどのくらい経つかな?」

5年生たち「え~っと、Chromebookの電卓機能は・・・・」

(暗算で頑張れ!と思いつつも・・・)

5年生たち「57年だ!」

校長「だから、手すりが150年前からあるわけじゃないんだよ。」

5年生たち「へぇ~」

校長「それに、みんなが4年生のとき、総合的な学習の時間の「共に生きる」の学習で、白杖体験や車いす体験したでしょ。逆に言うと、昔は、障害のある方に優しい施設になってなかったんだよ。」

校長「だから、正確には調べないと分からないけど、手すりがついたのは、そんなに昔のことじゃないと思うよ。」

5年生たち「なるほど」

第1問目の難問は何とかクリアです。

 

5年生B「(質問2)1年生の教室の前にある手すりには、なぜ、クマがついているのですか?」

校長「???」

山都・潤徳小のくまモンのことじゃないし・・・何を聞かれているのか、ちんぷんかんぷんです。

百聞は一見に如かず。

一緒に現地視察です。

すると、いました!

手すりのところにクマがついています。

校長「たぶん、低学年に親しみやすいようにクマをつけたんじゃないかな・・・。」

あまり自信のない回答をしてしまいます。

5年生の教室に行き、他の5年生にも聞いてみました。

校長「1年生の教室の前の階段の手すりにクマがついているって知ってる?」

5年生たち「え、知ってますよ。」

まさか・・・これって、知ってて当たり前?

不安になり、現場そばの1年生の教室に行ってみます。

「大きなかぶ」の音読練習を頑張っている子供たち。

その合間に突っ込みます。

校長「ねぇ、手すりのところにクマがいるって知ってる?」

1年生たち「知ってるよ。」

校長「どうして知ってるの?」

1年生たち「だって、見てるもん。」

わずか、入学後3か月の子供たちに説明を受ける校長。

さすがに、目の前だから1年生は知っているのだろうと思い、先輩の2年生の教室で確かめます。

校長「手すりのクマ、知ってる?」

2年生たち「え、校長先生、そんなことも知らないの?」

聞けば聞くほど、自尊心を傷つけられる校長。

ならば、学校のことについて一番詳しいはずの6年生に聞いてみようと思って教室に行ってみると、全く生気がありません。

校長「元気ですか~!」

6年生たち「・・・(シーン)」

校長「こ・ん・に・ち・は~!」

6年生たち「・・・(シーン)」

6年生A「昨日までで全力を使い果たしました。」

宇宙一元気のない6年生たちです。

それにもかかわらず、聞いてみます。

校長「1年生の手すりのクマ、知ってる?」

6年生B「校長先生、知らないんですか?常識ですよ。」

 

傷心しきって職員室に戻ってきた校長。

悔しいので、校長より前に本校に着任している教員に話しかけます。

校長「ねぇ、1年生の教室の前にある手すりにクマがついてるって知ってる?」

教員A「何のことっすか?」

教員B「くまモンのことですよね?」

同レベルということを知り、妙に安心する校長。

子供たちの着眼点ってすごい!と改めて感心します。【校長】