2008年8月の記事一覧
道徳の授業の組み立てを考える
◆新学習指導要領に対応した教育課題研修「道徳教育の充実」を実施しました。(7月31日)
◆午前中は、優れた実践をもつ市内の2人の教諭(東光寺小学校 堀竹蝶子教諭、平山中学校
池本ユウ子教諭)の実践発表を通して、新学習指導要領に向けた道徳教育について考える内
容です。午後は、いのちの電話の古川幸先生(元 日野市の中学校のスクールカウンセ
ラー)にお話しいただきました。
◆受講した先生方の感想です。
◇午前中は、新学習指導要領改訂のポイントが明確になり、また、道徳教育の課題と配慮すべ
き点について学ぶことができ、参考になりました。新学習指導要領を踏まえた学習指導案や
資料も示していただいたのでありがたかったです。中学校の事例は、プレゼンテーションの
スライドを見ながら、どんな授業をしているのかが具体的にわかり、小・中連携の観点から
も参考になりました。本日学んだ3つのポイント「問題意識を大切にした学習にすること、
共感的追究を広げる学習にすること、多様な価値観が生きた学習にすること」を常に確認し
ながら、「ねらい」と「身に付けさせたい心」を明確にして、授業の組み立てを考えていき
たいと思います。21年度の教育課程の編成について、夏季休業中に考えたいと思います。
◇午後の講師の先生のお話は大変わかりやすく参考になりました。自己分析させていただきた
り、それをもとに今後のことを考えさせていただいたり、振り返りの時間をもつことがで
き、本当にありがたかったです。受講した皆さんのそれぞれの価値観も聞かせていただき、
なるほどと思うことが多々ありました。それら一つ一つに丁寧にコメントされる先生の姿勢
にも学ばされました。意見を言うこと、注意をすること一つにしても、言い方、表現の仕方
はたくさんあります。もっと自分をトレーニングしていく必要を感じました。
生涯にわたって古典を親む生徒を育てる
◆新学習指導要領に対応した教育課題研修「伝統や文化に関する教育の充実(中学校国語科教
員対象)」を実施しました。(8月1日)新学習指導要領の国語科では古典が重視されまし
た。小・中学校ともに〔伝統的な言語文化と国語の特質に関する事項〕が新設されていま
す。その概要は、小学校第5・6学年で「古典について解説した文章を読み、昔の人のもの
の見方や感じ方を知ること」、中学校第1学年で「古典の世界に触れること」、第2学年で
「古典の世界を楽しむこと」、第3学年で「古典を読み,その世界に親しむこと」となってい
ます。
◆新学習指導要領での古典の扱い、古典に関する教材と指導のポイントについて、
信州大学の西一夫先生に講義していただきました。
◆受講した先生方の感想です。
◇古典を教育する目的や実際の指導方法など普段から疑問に思っているポイントを的確に教え
ていただき、大変参考になりました。講義の中で、祇園精舎の鐘や五行思想のお話も興味深
く聞かせていただきました。少人数の講義で、あてられたりしてヒヤヒヤしましたが、久し
ぶりに大学生に戻ったような感覚で楽しく有意義な時間を過ごさせていただきました。昔自
分が受けた「原文尊重」の授業が変わりつつあることに一抹の寂しさも感じますが、まず古
典を「楽しむ」「親しむ」様な授業づくりを目指して今後工夫していきたいと思います。教
材研究をもっとせねば!指導書はあまり使ってはだめですね。図書館に通って文献を調べて
いた初心に戻りたいと思っています。
◇久しぶりに大学の先生の授業を受ける事ができ、とても有意義かつ楽しい時間でした。子ど
もたちは文学を楽しむというよりは「答え」しかも「正答」を求めたがります。国語は「正
答」の先にある「感覚」をとぎすます教科だと思います。「正答」を知った上で楽しいと感
じさせることができたら良いなあと常々思っていますがなかなかうまくいきません。本日の
講義の中に出てきた五行思想ですが、子どもたちの好きな漫画でも多用されています。子ど
もたちが普段から親しんでいる古典の知識から古典を学問として楽しめるような授業ができ
るように頑張ります。今後は、教材研究で「いかに子どもたちの生活とつなげられるか」に
重点を置いていきたいと思います。
◇新学習指導要領においての言語力の育成に関することが詳しくわかりました。国語科におけ
る古典の教育の重要性を感じ、より深い教材研究が必要であると感じました。方角や色と
いった知識が学習を広げ、現代の我々の生活にどうつなげていけるかが大切であるとわか
り、生涯にわたって古典を親しんでくれる生徒を育てられたらいいと思いました。日本語の
口頭言語と書記言語のこともお話の中で関係が少し見え、国語教育の奥深さや楽しさ、可能
性の広がりを感じることができました。また、今後のために、旧暦についての勉強をし、生
徒たちに教科書教材+αを与えられるようにしたいと思います。
英語活動は担任が中心となって
新学習指導要領に対応した教育課題研修「英語活動(小学校段階における外国語活動)」を実施しました。(8月7日)英語活動(外国語活動)は、小学校高学年で、総合的な学習の時間とは別に週1コマ程度実施することになります。ただし、教科としてのは位置付けではありません。ねらいは、英語(外国語)を通じて、言語や文化について体験的に理解を深め,積極的にコミュニケーションを図ろうとする態度の育成を図り、英語(外国語)の音声や基本的な表現に慣れ親しませながら、コミュニケーション能力の素地を養うことです。
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英語活動の研修会の講師は、さいたま市立 大谷口小学校の荒木大輔先生です。 荒木先生は、小学校英語活動の大家である 渡邉寛治先生の教えを受けられ、実践家としての第一人者でいらっしゃいます。 | 午後は演習です。いくつかコミュ二ヶーション活動を実際にやってみました。 これは、Head,shoulders,kneedsand Toes(体の名称)のシーンです。 楽しみながら取り組みました。 |
★受講した先生方の感想です。
◇英語活動が導入されることになった背景、学校での英語活動の目標や指導計画の立て方、担
任の役割など、先行して実践研修を進められてきたお立場から分りやすく教えていただきま
した。午後は、実際にゲーム他コミュニケーション活動を教えていただき、授業のイメージ
がつかめました。今までALT主体の授業でしたが、担任が中心となって作成する授業に改善
していきたいと思います。
◇なぜ、小学校で英語が必要なのか、どのようなことを目標にして進めていけばよいか等がよ
くわかりました。理論が理解できたので、その上で新学習指導要領や研修ガイドブックなど
を改めて読み、目標を頭にしっかり入れて取り組んでいきたいと思いました。紹介していた
だいたゲームなどは自分でもやってみることができそうです。子どもの知的好奇心を満たす
活動、伝え合うことの大切さ等を生かした活動を工夫していきたいと思います。今日のお話
で「子どもが明るくなった」「雰囲気がよくなった」という変容が見られたら成功なのだと
知り、楽しみになってきました。自分でも楽しみながら明るく元気に指導していきたいで
す。
◇以下の疑問点が理解できました。
・なぜ小学校に英語活動が必要か。
・指導すべき内容について(資質を重視するということ)
・実際に学習の流れと担任の役割について(今までALTに丸投げの状態でしたが、授業を進
めるのはあくまでも担任であり、区切りの指揮をとるのも担任であることが大切)
現場の実際に英語活動を推進されている先生の話を聞けたので、大変参考になりありがた
かったです。今日の研修を生かして授業作りを工夫していこうと思います。
学校のICT化推進する仕組づくり
日本教育新聞の本日発行(8月11・18日合同発行)の記事に、日野市が掲載されました。連載「解説」のコーナーです。テーマは 「学校のICT化推進する“学校CIO・教育CIO” 校長が方針決定、行政は支援体制を」。文部科学省が7月22日に報道発表した「学校のICT化のサポート体制の在り方について-教育の情報化の計画的かつ組織的な推進のために-」の報告書に関するものです。
概要はこちら → http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/20/07/08072301.htm
この報告書については、これから、文部科学省のWebサイト上に掲載されるとのことです。
報告書の中では、「教育CIO」「学校CIO」「ICT支援員」を置くことが提唱されており、日野市の事例も紹介されています。日野市のサポート体制の在り方などが、全国の見本になることは大変光栄なことです。「実績に裏付けられた専門家の知恵を生かすこと、市を挙げて推進していく体制を整えることが成功の秘けつ」であることです。幸いにも日野市は「人」に恵まれました。子どもたちのために力を尽くそうというメンバーの熱い思いが理事者の理解を得て、市の主要施策になったわけです。報告書にはいくつか事例があげられていますが、CIOも、ICT支援員も、それぞれの自治体の環境は皆違うため、標準的な例を示しても同じようにいくものではありません。大切なのは、むしろ、行政職、校長、専門家、企業がうまく出合い、ビジョンを共有し、現実のものとしていく仕組です。
その仕組は、自治体、メンバーによりいろいろな形式があっていいのではないでしょうか。
ICT活用教育の新たなリーダーと仲間の誕生
★ICTパワー合宿に参加した先生方の感想です。
☆理科ねっとわーくを活用した授業づくりが目的でしたが、授業力のまだ足りない自分にとっ
ては基本的なことから発展的なことまでを学ぶことができました。講師の先生方はもちろ
ん、ベテランの先生方のお話もありがたかったです。理科ねっとわーくは1学期から活用は
していたもののコンテンツありきの授業をしていたからうまくいかなかったのかなと思いま
す。今後は授業のねらいを大切にして取り組んで行きたいと思います。3日間、たくさんの
準備やご指導をいただいたことに感謝いたします。
☆ベテランの先生方が誰よりも活躍されていたことが心に残りました(準備や自主研修も含め
て)。教材作成はゼロからのスタートでしたが、技術面や内容面でたくさんサポートしてい
ただき感謝しています。今回の成果は教材作成を通してスタディライターの基本操作ができ
るようになったこと、ベテランの先生方のノウハウをいただけたこと、理科グループの方々
から理科ねっとわーくの活用法について可能性を見せていただいたことです。今回の作成し
た教材は手直しすることが山ほどありますが、2学期の授業に使えるように改良していきま
す。
☆様々なソフトがあり、自分たちで作っていけることにびっくりしました。自分の目的にあわ
せて教材を作ることができると、ねらいにそった活用ができるので有効だと思いました。し
かし自分にはまだまだ難しいとも思いました。がんばります。理科ねっとわーくは、ねらい
に合わせたコンテンツの活用、子どもの考えを引き出すためのコンテンツの活用、子どもが
もっと知りたいと思えるような活用を考えていかなければならないいうことを学びました。
今後、このことをよく考えていきます。また、いろいろな人の意見や活用方法を知り、勉強
になりました。
☆理科ねっとわーくおすすめコンテンツの発表に向けて、メンバーで議論しながら練り上げた
ことが心に残っています。全体の発表会で、指導案に何を載せるべきか、何がポイントなの
か、発問を載せるべきだといった話し合いが今後に生かせる学びとなりました。また、算数
のソフトの活用については授業の幅を広げる可能性を感じました。
☆理科ねっとわーくの有効性を見いだそうと短時間ではありますが集中して取り組めたこと、
そこで他の教諭と知識、意見を交流でき、多くのものを得られたのが成果です。初任者の時
は、自分のものを作り上げるのに精一杯で他の教諭の情報まで頭が回らなかったのですが、
5年たって、ここ大成荘で自分の成長に気づけたことが心に残ります。初任者の時は東原先
生の話がすごく高度で難しく感じられていたのですが、この合宿で先生のご指導がとても心
にしみ、こんな難しい指摘・見方をたった一言でできるのだと、指導者としての在り方も学
ぶことができ、本当にうれしく思いました。
☆Cabriソフトでの作図がこれからの教材開発、教材研究に役に立つと思いました。CASA、
Cabri を使いながら2学期の指導に生かしていきたいと思います。若い皆さんと一緒で、
こちらもいろいいろな意味で刺激を受けました。自分にできることはできるだけやってお役
に立てたらと思います。少々きついことも申し上げましたが、これからもしっかり研修して
いって欲しいと思います。
画面右から 東原先生、森下さん、西尾さん
★3日間、研修を支えて下さったサポートスタップの感想です。
☆夜を徹して学ぼうとされている先生方の熱意を感じました。
日野の先生方はすごいパワーをお持ちです。(森下)
☆3日間を通して、参加されている先生方の表情がどんどん変わってきたのを実感しました。
最初は硬い表情をされていた先生も、発表会では、こちらが圧倒されるようなパワーを感じ
ました。(西尾)
★最後に、3日間、時には裏方として、時には的確かつ鋭いご指導をくださった東原先生のコ
メントです。今思えば,私が日野市の教育の情報化にかかわらさせていただいたきっかけ
は,5年前の,ここ大成荘の初任者研修といえます.その翌年には,教育の情報化プランを
策定するお手伝いをしました.そして,3年目にICT活用教育推進室が設置され,小学校
の情報環境整備,4年目に中学校の整備と続き,その間に校務支援システムの導入や日々発
信できる学校Webサイトへのリニューアルも行われました.この物的環境整備は人的な環境
整備と組み合わされたとき初めて効果を発揮します.日野市のいわば人的環境整備といえる
ものは,5年前の大成荘での初任者研修からスタートしたわけです.その後,情報システム
課の協力のもとに,ICT活用教育推進室長,メディアコーディネータによる推進と支援に
支えられて,管理職も,一般の先生方も,事務の方も,教職員全員が,様々な研修をベース
に,それぞれの役割を最大限に発揮して,教育の情報化のために活躍してくださっていま
す.「コンピュータ等を指導に活用できる先生100%」の最初の目的を達成した日野市の
新たな目標は,ICTの活用によって,教員が自分の指導力を一段と向上させ,授業をはじ
め,学級経営,地域との連携などのもととなる人間関係力や企画力に至るまで,教師として
の様々な力量をさらに高めることです.今回の「ICTパワー合宿」での先生方の活動は,
与えられた研修課題をこなすのではなく,目的意識の共通性から自然発生的に構成された仲
間たちで,子どもたちや市内の先生方を思い浮かべたとき必然的に出てくる具体的なゴール
を定め,最適な役割分担で取り組まれ,私の期待を遥かに凌ぐ成果をあげられました.日野
市の中で,年齢を問わず,ICT活用教育の新たなリーダーと仲間が生まれていることを実
感した研修会でした.