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推進室情報 2008年

新成人の日野人へ

日野市民会館大ホールで成人式が行われました。
約2000人の新成人のお祝いの日です。
平成生まれの新成人もいます。
会場には、小・中学校の校長先生も駆けつけてくださいました。

 


以下、田口直教育委員長のお祝いの言葉です。

新しく成人の仲間入りをなさった皆さん、本日はおめでとうございます。
成人式というのは、皆さんにとって一つの通過点に過ぎないかも知れません。
皆さんがお生まれになった頃の日本は右肩上がりの経済成長のまっただなかでした。
1991年にいわゆるバブルがはじけてから、努力に努力を重ねて築き上げてきた経済も
昨年秋には、百年に一度という金融危機におちいりました。
このことは、これからの私たちの生き方にも大きな影響がありますが、そんな中で成人式を
迎えられた皆さんに贈る言葉として、私からは、「人生には無駄がない」という言葉を
掲げたいと思います。

「人生に無駄がない」と言ったのは、昨年の第139回芥川賞を受賞した中国人の女性作家
ヤン・イー(楊逸)さんです。ヤンさんは、文化大革命の時代、貧しい農村に下放されたご家族の一員で、辛い青春を過ごしました。自分の人生を自由に選べない「息苦しさ」のなかで、横浜に暮らす伯父さんから送られた絵葉書を見て、日本に憧れ、1987年に来日しました。
言葉もわからない日本で、日本語を学ぶのにどれほどの苦労を重ねられたかは、察して余ります。アルバイトを重ねながら大学をでて、中国語を教えながら、日本語で作品を書き続けました。「時が滲む朝」という作品が、芥川賞受賞作品となりました。
日本語を母語としない人が芥川賞に選ばれたのは初めてでした。

報われるかどうかわからないことに努力をし続けられたのは、「問題があるのが当たり前」「人生に無駄はない」という、究極のところを支えた楽観と、強い意志であったのだと思います。「頑張るということは、もうダメだと思った時に始まる」のではないでしょうか? 
皆さんには「若いときに苦労していること、努力していることは全て栄養・サプリメント」
と笑い飛ばすくらいの活力を持ち続けていただきたいと思います。
憧れを自分の心の中で育み、突き進んで行って欲しいと、大きな期待を込めて申し上げ、お祝いの言葉に代えさせていただきます。

本日はおめでとうございます。