過去の推進室情報 2008年

2008年8月の記事一覧

地元の農家の方から学ぶ

新学習指導要領に対応した教育課題研修「食育(社会の変化への対応の観点から教科等を横断して改善すべき事項)」を実施しました。学校課の丸副主幹に研修のコーディネートをお願いしました。栄養士の方、産業振興課の職員、地元の農家の方のご協力を得て、研修を実施することができました。
 

★以下、丸副主幹の研修レポートです。

東京の里山(日野市百草)で「農業で生活する」というライフスタイルをかたくなに守り、ほぼ自給自足の生活をされている石坂昌子さんが本日の講師でした。自家の庭や畑を会場に日野の伝統的な文化や技術を体験する教室「自然のめぐみを楽しむ会」で年間を通して、「味噌の仕込み」「草木染」「しめ縄づくり」などを伝承されています。そんな石坂さんに「地粉で作るすいとん」「しそジュース」「茄子の塩もみ」の調理実習のご指導いただきました。
農家のお母さんたちが作る食事は、素早く、素材の味を生かした、愛情たっぷりの料理だということがよくわかりました。地粉の団子は歯ごたえがありおいしかったです。すいとんを初めて食べたという先生もいらっしゃいました。日野では昔から終戦記念日に「すいとん」を食べる習慣もあるそうです。「しそジュース」はクエン酸で色がワインレッドに変わった瞬間、理科の実験みたいーとの声も・・・ 「茄子の塩もみ」は、みょうがと大葉、それぞれで塩もみしたシンプルなものでしたが石坂家の採れたて野菜の素材の味をたっぷり味わえた研修でした。
本物の味、旬のもの、身近な材料を肩肘はらず食す。これぞ「食育」の原点だと思いました。
石坂さんは化粧水も自家製、ハンドクリームでもあり、ヘルペスの薬でもあり、アトピーにも効く、それは「どくだみ」で作るそうです。お手伝いいただいた日野市女性農業者の会「みちくさ会」の方々、「みちくさ会」担当の産業振興課の方ありがとうございました。

◆受講者の先生の感想です。

◇食育はバランスよくとることが大切だと思っていましたが、見た目の色で考えていくことも
    できることがわかりました。子ども達にはわかりやすいし、時間のない保護者などにもやり 
    やすい(考えやすい)方法だと思いました。実習では地元の野菜をふんだんに使ったすいと
    んをいただき、初めて作ったので、とてもおいしく感じました。切り方も好きでよいとのこ
    とで、子どもたちにも実習させられると思います。シソジュースもはじめは緑色だというこ
    とを知らなかったので、これも授業でやれば子ども達が大喜びするだろうと思いました。子
    ども達に、家庭科の栄養素の授業の中で、教科書にのっているものだけでなく、今日のお話
    の中で出てきたことも伝えていきたいです。

◇午前の部の講義では、まず食生活をふりかえることが大切ということ、そして“食”に対する
    情報が多い中、何を自分のものとして取り入れるか、食生活が生活リズムを整えるというこ
    とが印象的でした。午後の部の実践では、同じテーブルになった人と会話をしながら、一緒
    に作ること、そして食べること、何気ないけれど、現代の生活の中で少なくなってきている
    ことを感じました。食べることは、生きていく上で欠かすことができないことであり、園児
    や保護者には食の大切さを知らせ、同僚には今回の内容をもとに、園内研に少しでも生かせ
    たら…と思いました。

◇「食育とは、栄養観を育てること、栄養観は人生観」という勝山先生の言葉が心に残りまし
    た。時間栄養学というのは初めて聞きましたが、「朝の果物は金、昼の果物は銀、夜の果物
    は銅」というのを昔聞いたことがありました。昔の人は格言のようにして、きちんと“食
    育”をしていたと思いますが、情報氾濫の現代は、かえって正しい知識でなく、よけいな情報
    ばかりです。児童の栄養は保護者が担っていますが、そこがうまくいかないのが現状です。
    学校(教師)が担わざるを得ない現状なので、自分自身もあふれる情報に踊らされることな
    く、正しい栄養の知識をもっている必要を痛感します。本日は新しい知識も含め、楽しく栄
    養について学ぶことができました。調理実習もお野菜たっぷりいただいて、幸せでした。今
    年度の校内研で「食育」を核にして研究を進めているので、本日の内容を取り入れていきた
    いと思います。単なる知識としての栄養学ではなく、実生活に生かせる食育を目指します。
  「選んで食べられる子」が目標なので、“松花堂弁当型”“5色揃え”を参考にさせていただきま
    す。本校も農家の方に協力していただいているので、地野菜、農業体験を活用した食育にも
    取り組んでいきたいです。