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カテゴリ:潤徳小日記
子供たちがつくる授業『生活科 うごくおもちゃ』-研究推進委員会より
潤徳小学校では第4次日野市学校教育基本構想を受け、「子供たちがつくる」教育活動の具現化を図っています。日々の授業の中でも「子供たちが当事者として参画し、意見し、対話する」場面をつくり出すことができるよう、今年度は以下の研究テーマのもと、授業改善を推進しています。
「子供たちがつくる学校(学習)」プロジェクトの推進
~学び合いを通して探究する児童の育成(複線型)~
今回は、10月30日に行われた2年生の生活科の授業実践を紹介します。
本時の授業は、「試しながら遊んだり、教え合ったりする中で、友達のおもちゃのよさを取り入れながら改良する」ことを目標としました。
まずは全体で、今までの学習を振り返ります。
前時までの学習を振り返る中で、同じおもちゃの児童と交流してさらなる工夫のヒントを得たり、よさを認め合ったりできたことを思い出しました。
1時間ごとの学びの記録はグループごとに模造紙に貼られてます。
【↑自分の学習の軌跡をすぐに確認できる工夫】
今までの学びをふまえ、本時のめあては、他のおもちゃを作ったグループと交流しながら
「いろいろなおもちゃのアイデアを取り入れて、もっとよく動くおもちゃにしよう」だと確認しました。
めあてを確認した後は、前時にアドバイスを受けたことに対して、おもちゃの改善をそれぞれ行いました。
「どれを使おうかな」
とある児童は、教室中央に配置された材料エリアに移動し、材料を手に取りながら考える様子が見られました。
また、同じグループの児童と、相談をしながら材料を選ぶ様子も見られました。
パッチンジャンプのグループは、自分のおもちゃを改善する時間が始まるとすぐに段ボールを出して、何かを作る様子が見られました。
この児童は、前時に「どういう遊びにするか決まらない」という相談ごとをしており、それに対し別の児童からアドバイスを受けていました(付箋)。
具体的なアドバイスを受けて、主体的に活動に取り組むことができていることが伺えます。
どの児童も、それぞれ自分が今やるとよいことを判断し、自分で学びを進めていました。
改善が終わった後は、順番に他のグループを回りました。他のグループのおもちゃで遊ぶ中で「もっとよく動くには」という視点で交流を始めました。
「これどうやって飛ばすの?」
「後ろを思いっきりポン!ってやって!」
自分たちのおもちゃは無意識に巧みに遊ぶことができても、そのおもちゃを作っていない児童にとっては新鮮で難しいものです。どのようにするとうまくできるのか、楽しそうに交流する様子が見られました。
別の児童は、ゴムを複数回ねじって飛ばす紙コップのおもちゃの飛ばし方を説明していました。しかし、何度も言葉で説明しても、うまく飛ばすことができません。
「説明の仕方を工夫するといいかもね」
という教師のアドバイスを聞くと、
今度は実際に自分が近くでやってみせて説明する様子が見られました。
他のグループの児童に遊んでもらいながら、よりよく動くにはどうする説明すればよいのか考えることができていました。
他のグループとの交流タイムが終わると、次は自分のグループに戻っておもちゃの改善を始めました。
「どうやったら上に飛ぶんだろう?」
「ぐっと押すんだよ」
「ゴムを二重にするといいって言ってたね。」
「じゃあ三重にしちゃう?」
と楽しそうに会話をしながらおもちゃを改良する様子が見られました。
改良した点を伝え合い、気付いたことを毎時間使っている記録カードにまとめた後は、これまでの活動を振り返り、グループとして気付いたことをカードにまとめました。
「ゴムはかせカード」「風はかせカード」など、おもちゃを作ったり改善したりする中で気付いた力の働きについてまとめました。
「ゴムを増やすとよく飛んだ」
「ゴムを二重にしたり、違う種類にするとよく飛んだ。」
「ゴムをたくさんねじるとよく飛んだ」
「おもりの数を変えるとよく転がった」
「空気をふさいでぴったりにしたら、ロケットポンができた」
「風が隙間から抜けないようにしたらよく進むようになった」
こうした気付きを言語化することは、自分たちの学びを可視化できるだけでなく、次年度の理科にもつながる大事な土台となります。児童はおもちゃで遊んだり、試行錯誤したりする中で、自然と様々な力の働きについて気付き、おもちゃを改善することができていました。
授業後の協議会では、帝京大学教育学部初等教育学科長 福島健介先生を講師としてお招きし、研究協議会が行われました。
学級の雰囲気が良く、楽しく学ぶことができていたこと、それぞれがそれぞれの場所で、よい意味で「カオス」に学びを進めていたことを評価していただきました。おもちゃを試行錯誤する中で、子供たちからたくさんのよい気付きが生まれていた、とのことでした。
指導・講評では「自己決定」を授業に取り入れることが複線型授業を考える第一歩となることや、個別最適な学びでは、一定の目標を全ての児童が達成することを目指し、個々の児童に応じて異なる方法等で学習を進める「指導の個別化」や個々の児童の興味・関心等に応じた異なる目標に向けて、学習を深め、広げる「学習の個別化」があることをご指導いただきました。
「課題の設定⇒情報の収集⇒整理・分析⇒まとめ・表現」という活動を多面的に経験する機会を日常的に取り入れる中で「思考・判断・表現」の力が育ち、その集大成に、複線型授業の実現があるとご指導いただきました。
今回の授業実践や指導を生かし、授業改善に努めてまいります。
【研究推進委員会より」
(2016年4月から2018年3月まで)